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Little stories

夢か何かだったのかもしれない

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散る
時間が距離や量ではかれるほどになってから、ある日マクシムは電話を受けた。「どうした、マクシム」

「ソフィア、ちょっとこっちに」マクシムは母語でソフィアと深刻そうな表情でしばらく話し合っていた。そして、一度外に出ていった。

マクシムとソフィアは外に出てほしいと言ったが、タイヤンは「忙しいから、俺への話は後回しにしてくれよ」と言って、本を漁っていた。しかしながらマクシムは、「いや、後じゃ困るんだ。今話さなくてはならないと思う。ソフィアもそう思うだろう?」

ソフィアの表情はあまりよくはなかった。むしろ暗く、悪い話であることをタイヤンに言わんばかりだった。「申し訳ないけど、私たちはここを離れなくてはならなくなってしまった」その声を聞いて、全員がテントから外に出た。白い日光が眩しい。

「ここを離れる、とは?一旦帰国してからこっちに戻ってくるのか?」ガオシンは話がよくわからない、といった様子で尋ねた。「どうして?協力してくれるって言ったじゃないか!」タイヤンはマクシムにつかみかかろうとしたが、ソラがやめさせた。「話を聞かせてくれないと、こっちも納得できないな。それにこのマシンや他の道具はどうするつもりだ?いつ戻ってくるつもりでいるんだ?全部答えてほしい」

ソフィアが代わりに答えた。
「私たちが戻ってこれるかどうかは、ここの政府がどういう行動をするかによる、としか言えない。母国で選挙があって、状況が変わったの。私たちは今まで自由に動いていたけど、今の政治はそれを許さない。私たちは政府とニーナが送ってくれるヘリに拾ってもらうけど、あなたたちもここを離れないと。しばらく黙ってたんだけど、かなり状況が悪い。パスポートさえ持ってればこっちに来てもらってもかまわないから」

タイヤンは「状況って何なんだ?」と問いつめた。マクシムが苦々しく答えた。「ここの政府はね。この街を吹き飛ばすつもりらしい」

「どうしてそんな、だってお前たちがいれば大丈夫だって、先生も電話で言ってたじゃないか…だめなのかよ」
ガオシンもマクシムに言った。

「サラ、ごめんね、私たちだけじゃだめだったみたい」ソフィアはサラの手を取って涙ぐんだ。「サラの故郷、これじゃ守れない」

ソラは「やっぱりだめなのかよ、お前たちがいたって結局問題なんかひとつも解決できないんじゃないか。この砂漠も街も、むしろ終わらせてしまうようなものじゃないか!」全員がおしだまった。この中で一番苦しいのは、ここを故郷とするサラとソラの2人だった。

サラはソラと話し始めた。「ソラ、これは私たちの問題なんだから、本当は頼っちゃいけなかったんだよ。生き延びるためにこの街を出る?あなたはマクシムについて行きなさい」「サラはどうするつもりなんだよ!」「ここの人を一人でも他の場所に移さなくては。私たちの故郷は土地だけじゃないんだから。人だって、故郷の一部なんだから。嘆いている余裕はなさそうだし、動きましょう」

ソフィアは「だめだよ、今動かないと間に合わないよ」

サラは顔の覆いを取ってそれぞれの目を見て話した。「あなたたちは自分のことを自分で決めなさい、私たちも自分のことは自分で決める。今言ったように、私たちは動く」
ソラは顔を隠したまま、話した。「俺はサラと一緒にここの人間を外に逃す。ここに残る。それでいい。」

「タイヤン、ガオシン、あなたたちは一度ここを離れなさい」サラは続けて話したが、タイヤンは反論した。「いや、それはしない。砂漠に」ガオシンは言った。「砂漠からは一度避難しよう。状況がわかるまで街に行くんだ、タイヤン。」

「ガオシンはいつも冷静だね、いいことだと思うよ」サラは言ったが、「途中までは、サラたちと一緒にいるよ。冷静なだけじゃ、こいつが我慢ならないと思うんでね」とガオシンはタイヤンを指さして言った。

「爆撃がどの規模でどの辺りまで広がるかは予測できない。それを念頭に置くんだ。」マクシムは言った。

ヘリが遠くに見える。ああ、あのヘリで、マクシムとソフィアは帰ってしまう。

2人は言った。「機材や、持ってきたものは置いていくよ。戻ってこれることを期待して、ね」

ソラは2人に「ふざけんな、微塵も期待なんて持てない癖に!」と怒鳴った。サラは冷たく言った。「期待なんてどうでもいいの、とにかくユエリャンの居場所を確認しないと。他の村人はたぶん私たちの話を聞かないだろうけど、とにかく被害は少ない方がいいに決まってる」
「ユエリャン…ユエリャンはここにいるままなのか?」タイヤンはユエリャンのことをすっかり忘れていたので、名前を聞いてふと遠くの記憶をさぐった。「あの子はしばらく湖を離れてるみたいだから、街にいるんでしょうね」「サラはユエリャンと仲がいいのか」「…まあ、悪くはないけど」「姉妹?」「今そんなことは話すつもりないから」サラは話したがらない様子だったため、タイヤンは聞き出すのを諦めた。

さまよえる湖

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