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Little stories

夢か何かだったのかもしれない

No.13

「トモエ、もうメールを送るのはやめだね」
「そうだね」
トモエはネットワークの中で、アキとヨシと一緒にあらゆる人に「雨」という名前でメッセージを送っていたのだった。「どうして、もうやめるんだ?」

「私たちはじきに、存在できなくなるのさ」アキが脚を組んで、片方の脚を揺らした。
「あの男の子は情報が早かったね、キャッシュからニュースをもらったんだけど、どうやらもうこのネットワークも更新されて、古いネットワークからの乗り換えが始まっている。」トモエはテーブルに肘をついた。

「なるほど、俺たち消えちまうのか」
「あんたには悪いことしちゃったね、元々私はトモエにくっついてここにずっといるつもりだったんだけど、あんたが外にいてくれれば、あんたは無事な一生を送れたというのに」アキはヨシに向き直って、話し続けた。
「そんなこと言ってもなあ、身体ごとここに来ちゃったからな」ヨシは笑った。
「後悔先に立たずって話だね」アキは笑った。
トモエが静かに言った。「でもヨシはアキが好きだからそうしたんでしょ」

「後悔はないよ、どうでもいいことだ」

「元々選択肢なんかなかった」アキは目を閉じた。
「知らないことが重なったし」トモエも目を閉じた。
「無力なまま動き続けてたんだ」ヨシも、目をそっと閉じた。

3人はそのまま、動かなくなり始めた。 アキの髪留めが溶け、髪がほどけ、トモエとヨシがアキの両側で繋いでいた手が緩み、3人は一緒に砂のような数字と記号になって、消えていった。

電子世界2

■---voice---

すべてはフィクションです。

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