thewhitenovel
Little stories

夢か何かだったのかもしれない

No.16

もし、ロプノールのために人が集まったなら。


青年たちが荷物を片づけている。 「タイヤン、もう暗い。今日はここで終わりだな。テントに戻ろう」 「うん、そうしよう。…でも、もうちょっとだけ。ガオシンは先に戻ってていいよ」 「熱心だな、相変わらず」 「だって、やっとこの砂漠に来ることができたんだよ、どんなに熱心にやったところで、十分なんてことなんかない。俺らはこんなチャンスでもなければ、研究現場に立つなんて夢のまた夢なんだぜ」 「はは、それは言えてる。でも一日を片づけなきゃならないし、俺は先にテントに戻ってるよ、サソリやなんかには気をつけろよ、薬が少ないんだ」

ここはタクラマカン砂漠、少数民族が細々と暮らす平和な小さな町がそこかしこにある。今世紀から来世紀の間には消滅の危険があると言われている言語を話し、それと同時に消えてしまうのではないかと思われながらも放置されている文化の中に暮らしている。

この民族は貴重な水脈を辿り、戦争の危険まで何度も繰り返した。更に核の危機までも、何度も通り過ぎた。だからこそ、命の水、それだけの安定供給を図ろうと水脈を研究する人を呼んだのだった。ただし、最大の希望である「ロプ湖」がもし見つかったとしてもあの湖は塩湖だったから、同時に政府の中に上り詰めた民族出身の政治家はそれを淡水にするための研究を他の場所で始めさせたことだけは、タイヤンもガオシンも知っていたのだった。

安定しない文化の衝突、重なる核実験の不安、そういったものもこの青年たちは覚悟しなくてはならなかった。でもそれは、ここに生きている少数民族たちも同じことだった。

暗闇の中に人の影が浮かんだのに気づき、タイヤンは立ち上がった。「誰だ」細い女の声は答えた。「…こんばんは、こんなに遅くまで頑張ってるのね。あまり暗くなってからでは片づけるのが大変。早めにしておいたら?」タイヤンは知らない振りをして、背を向けて荷物を片づけた。流暢な漢語だった。

「あなたはこの湖を探していたのではないのですか」タイヤンは息が詰まるように目を見張った。彼女の後ろに、ロプ湖が現れたことに、あまりに驚いたのだった。その時、言葉を失ってじっと見つめていた。彼女も、タイヤンを見つめていた。

「おい!ガオシン!ロプ湖だ!噂のロプ湖だ!」その女性の影は、その時もう踵を返し、離れていった。

さまよえる湖

■---voice---

すべてはフィクションです。

ご不便おかけしますが、目次カテゴリからご覧ください。

編集

  • ハッシュタグは見つかりませんでした。(または、まだ集計されていません。)