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Little stories

夢か何かだったのかもしれない

2024年5月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

「ねえ、いつもメールをくれてありがとう」
白と灰色の古い思い出の中で、その女の子は一人で携帯をいじっていた。白いリネンの中、彼女は最後に送信ボタンを押して、目を閉じた。この病院の就寝時間はとっくに過ぎていた。その日は、金曜日だった。夜、彼女が眠っている間に、そのメールの返事は届いた。

枕元に置いたタオルの下で、携帯が短く震え、彼女は一瞬目を醒ました。しかし、彼女はまだ小さく幼かったのでそのまま寝入ってしまった。

朝、採血のために声をかけられ目を醒ますと、少し立体的な雲の陰のはっきりした空が遠くに見えた。彼女は窓際のベッドで、慣れた風に採血をしてもらい、小さな絆創膏を上から押さえた。朝食の出される7時まではまだ少し間があった。短く切りそろえた髪を揺らして、携帯電話を起動すると、小さなアイコンが着信を知らせていた。

彼女は食事が減って、日に日にやせ細っていった。彼女はあらかじめ知らされたその現実を受け入れ、それが自然なことだと思っていた。

友人は一人一人、少しずつ来なくなっていった。そしてまた、それを悲しむような余裕は無くなっていった。彼女は6人部屋から4人部屋へ、2人部屋へと少しずつ移動されていっていた。

「ねえ、あんた悲しくないの」
マスクをかけた制服姿の女の子が、話しかける。
「何が」
もはやベッドに横たわるしかできなくなった彼女は、無気力に笑って言った。
「あのさ、金曜日のメールって知ってる?」
「知ってる。今頃何を言ってるの?みんなあの気味の悪いメールなんか常識で、もう話題にすらならないじゃない」

「私、あんたがこのままいなくなってしまうなんて辛いよ」
「知ってて友達になったんじゃなかったっけ?…ほら、3時過ぎにはおばさまが来るから、帰らないとまた怒鳴られるよ。おばさまのこと、あまり嫌わないで。早くに寿命が終わってしまうわたしと、仲良くする人がいるとその人が悲しむからああやって…近くに人が寄らないようにしているのだから」
彼女は、息が苦しくならないように、少しずつ、声を出した。
「あの人は、自分たちが財産を早くに継げるからそうしてるんだよ」
制服を着た女の子は怒って、立ち上がった。

彼女は言った。「それで、あのメールのこと知ってるんでしょ、あなたはどうするの」
「私は、あのメールの言う通りにする。他にはもうない」

「一緒にいてくれるの?ありがとう」
彼女は笑った。

「金曜日の夜、起きていようね」
二人は約束した。

金曜日の夜が訪れた。
その時、彼女は昏睡状態にあった。
その時、女の子は目を醒ましていたが、彼女の状況は知らされていなかった。家族ではなかったから。

22時が訪れた。 既に死の扉を開いた彼女は少しずつからだを失っていった。個室のテーブルの上に置かれた携帯電話から、「あの不思議なメール」とのやりとりが消えていった。
制服を着たままの女の子もまた、少しずつからだを失っていった。枕元に置いてあった携帯電話から、「あの不思議なメール」とのやりとりが消えていった。

小さな声が聞こえる。
「あなたたちが一緒にいられるようにしてあげる」
その文字が細かな数列になって、また更に数列が小さく分裂していき、消えていく。

「お願いします、私たちは一緒にいたいんです」
その文字が細かな数列になって、また更に数列が小さく分裂していき、そして小さな0と1になって消えていく。

「できるならやってほしい、どうか力になってください」
その文字が細かな数列になって、また更に数列が小さく分裂していき、そして小さな0と1になって消えていく。

2人は夢のような暗闇の中、手をつないでいた。知っているひとの顔が浮かんでは細かな数列になって、あらゆる記憶が小さな0と1になって消えていく。

女の子はひとつの姿にふと手を伸ばした。「お別れだね」

すると彼女は女の子を激しく罵った。「わたしが、健康じゃなかった間に、あなたは他の人に目を向けていたの?わたしを独りにしないって言ったじゃない、嘘つき!」彼女は女の子の手を離した。「もう会いたくない、ここから消えて!」

すると、女の子は冷たくなったベッドの上で目を醒ました。既に朝だった。女の子は、お昼すぎに病室を訪れた時に、彼女がいなくなったことを知ってひどく嘆いた。

しかし彼女はその病室を出ると、暗く暖かなところにいた。
「おはよう、新しくここに来てくれた子だね。改めて、名前を聞かせてくれるかな」
「 」
「そう、こちらも改めてご挨拶を。雨と申します。よろしくね。」
彼女はそこで意識を失い、眠るのだった。

電子世界2

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すべてはフィクションです。

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